2016年04月12日

イジメがこの世界から消えてなくなることなどないのだから、(3)

前回の記事はカテゴリ「私の過去」をご覧ください。

私のクラス替えの希望は一つは叶えられ、もう一つは叶えられませんでした。紗耶ちゃんとは別のクラスになりましたが、多恵ちゃんとは同じクラスになれませんでした。

でも紗耶ちゃんと離れることができたのだから、私の三年、四年の二年間はきっと素敵な日々になるだろうと少し嬉しくなりました。しかし、そんな淡い喜びもすぐに消えてなくなってしまいました。

紗耶ちゃんに代わる女王様がいたのです。綾ちゃんというソバカスが多く鼻筋の通った、ハーフだと言われれば信じてしまうような外見の女の子でした。私は綾ちゃんに気に入られたようで綾ちゃんのグループにいつの間にか入っていました。グループなんて馬鹿らしいと思っていても自然とグループができてしまうのが女子...。私は学級委員長に選ばれたり、綾ちゃんのグループにいるので何となくクラスの中心にいるようになりました。ただ、綾ちゃんは紗耶ちゃんと同じ、自分の思い通りにならない人間が大嫌いでした。よく理由もわからないまま無視されることが増えました。クラスの他の女子たちも綾ちゃんに怯え、一緒になって私を無視しました。綾ちゃんの機嫌がなおると綾ちゃんからもクラスの女子たちからも話しかけられるようになります。それの繰り返しでした。こんなに無視されて誰も口をきいてくれなくなるぐらいなら、まだ物を盗られたり、隠されたりしていたほうがましだったな、とため息が出ました。一度、香ちゃんという絵がとっても上手で家にもお互い行き来するほど仲のよかったクラスメイトが手を洗っているときに隣に来て小声で教えてくれました。「綾ちゃんがじぇいこちゃんとは口をきくなって女子全員に言ってる...だからごめん...」私は「うん、わかった。ありがとう。」としか言えませんでした。ただ皆、私が嫌いなんじゃなくて、綾ちゃんが怖いだけなんだとわかって少しだけ救われた気がしました。でも私と香ちゃんが話しているところを綾ちゃんが見ていたのです。今度は香ちゃんが無視されるようになりました。あんなに辛い思いをしたのに、私は結局他の女子と同じで香ちゃんのために何もできませんでした。

イジメと言うのは、こうして続いていくんです。終わらないんです。イジメる人間とイジメられる人間の他に怖くて何も出来ない人間、見ているだけの人間、見ていないフリをする人間、ここぞとばかりにイジメる人間に加担する人間、様々な人間が絡み合っているが故に複雑に絡み合った糸はほどけないし、切れることもあるのです。

私は男子とは何も考えずに、気を遣わずに楽しく付き合えました。ひょうきんな話をして大声で笑ったり、男に生まれればよかった、と何百回、何千回思ったかわかりません。

私は最後の二年間に賭けました。どうか、どうか多恵ちゃんと同じクラスになれますように。

何度も神様にお願いしました。
posted by じぇいこ at 22:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | じぇいこの過去 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月10日

イジメがこの世界から消えてなくなることなどないのだから、(2)

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新しく買ってもらったもの、例えばシャープペンシルや消しゴムを持って行くとなくなりました。

ある時、上履きがなくなりました。

私の通う小学校には朝、全校生徒揃って運動をする習慣があり、その運動を終えて教室に戻ると上履きが消えていました。大騒ぎになり、クラス全員で私の上履きを探すことになりました。一年生のときは教室は一階にあり、靴箱も教室の側でした。クラス毎に玄関があるようなそういう造りになっていました。ですので、皆、教室から出たすぐ外の花壇や隣の教室の靴箱などいろいろと探してくれました。その時、「先生!じぇいこちゃんの上履きありました!」と言う声が聞こえました。苗字の頭文字が同じで席が前後になった紗耶ちゃんの声でした。使われていない教室の靴箱に私の上履きが入っていたのを紗耶ちゃんが見つけてくれました。紗耶ちゃんは元々ハキハキした性格でクラスでも目立つタイプの子でしたが、この一件でますますリーダーのような存在になりました。

紗耶ちゃんとは席が前後だったので最初のうちはとても仲良くしていましたが、自分が一番でないと気が済まない紗耶ちゃんのご機嫌をとるのがどんどん嫌になっていきました。それでも気を遣いながら生活していたのは二年時も一年生のこのクラスからの持ち上がりだと知っていたからです。二年はこのクラスで耐えなければならないと幼心に感じていたのです。

二年の時、同じクラスのミズエちゃんが転校することになりました。ミズエちゃんとは特別仲がいいわけでもありませんでしたが、ミズエちゃんが引っ越す前に私に話がある、と言いました。ミズエちゃんはとても大人しい子だったので少しびっくりしました。私とミズエちゃんは教室の窓辺で話をしました。ミズエちゃんが「ごめんね。」と言うのでもっとびっくりしました。そしてこう続けました。「一年生の時にじぇいこちゃんの上履きがなくなったでしょう。上履きを隠したのは紗耶ちゃんだよ。私はそれを見たのに紗耶ちゃんが怖くて言えなかった。本当にごめんね。」ミズエちゃんは引越してしまう前にどうしても私にこのことを伝えたかったのだそうです。私はミズエちゃんの気持ちもわかったし、私に伝えるのだって大人しいミズエちゃんにとっては随分勇気がいったのではないかと思いました。「ありがとう」と言いました。窓から入る風がとても気持ちよかったのを覚えています。あれは何月だったんでしょうか。

私はその頃から三年生は絶対に紗耶ちゃんと違うクラスになりたい。多恵ちゃんと同じクラスになりたいなぁ、と強く思うようになりました。

「クラス替えについての希望」という紙が配られた時、私は真っ先にその二つの希望を書きました。
posted by じぇいこ at 22:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | じぇいこの過去 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月09日

イジメがこの世界から消えてなくなることなどないのだから、(1)

私の人生において消したくても消せない悲しい記憶の一つがイジメです。それは一度や二度ではなく、場所を変え、ヒトを変え度々私の身に降りかかりました。

私の見た目や性格から、他人は「イジメ」と「私」を結びつけて考えるとき、もしかしたら、私が誰かをイジメていた、と思うかもしれません。でも逆なのです。私はいつも誰かにイジメられていました。その経験が少なくとも今の私の一部を形作っているのは間違いありません。

満開の桜と真新しいランドセルが目にも眩しいこの季節が来るとあの時のことを思い出さずにはいられません。九月入学の台湾に住んでいる今、記憶を呼び起こす光景を直接見ることはなくなりました。が、早くに結婚した同級生たちがSNSに投稿する真新しい制服とランドセルに包まれた子どもたちの姿を見ると、やはり私の記憶は...あの辛い記憶は、鮮明に蘇ってくるのです。

ドキドキの入学式が終わって家に帰った私がピカピカのランドセルをおろすと、外から誰かが呼んでいます。窓の外を覗くと私と同じ年頃の女の子が庭に立っていました。活発そうなその女の子は私を見ると「じぇいこちゃん、一緒に遊ぼう!」と言いました。私は近所の友達はずっと男の子だけだったので、女の子が私を誘ってくれるなんて夢みたいですごくすごく嬉しかったのを覚えています。その子は多恵ちゃんという名前で、お家はそんなに遠くありませんでしたが通っている幼稚園が違っていたので小学校で初めて一緒になりました。小学生になったら新しいお友達できるかなぁなんて心配していたのに、入学式の日に、しかも向こうから誘ってくれるなんて!私はこれからの小学校の日々がきっとキラキラと輝くものになるのだろうと明るい気持ちになりました。でも多恵ちゃんとは違うクラスだったので、それをすごく残念に思いました。けれども、学校の帰り道でおしゃべりしたり、帰ってからお互いのお家へ行き来したり、お外で遊ぶようになりました。男の子ばかりと遊んできた私にはとても新鮮で毎日が楽しく過ぎていきました。

キラキラと輝く毎日を期待したあの日からそんなに遠くないある日、私は初めての「イジメ」を経験するのです。

私の物が度々なくなるようになりました。

posted by じぇいこ at 21:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | じぇいこの過去 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする